

恋に悩む夜。どうしてこんなに苦しいのだろうと、ベッドの中で天井を見つめる。
好きな気持ちは本物なのに。相手を思えば思うほど、心はこんなにも脆くなる。
恋は、薬じゃ治らない。
けれど、心に小さな”処方箋”を持つことはできるのだと思う。
それは、どこかに売っている薬ではない。どんな医者でも書いてくれない。
自分だけの、たった一枚の、心のレシピだ。
第一の処方箋。
「完璧な恋を求めないこと。」
恋は不完全だ。思い通りにならないことも、誤解も、すれ違いもある。
でもそれは、相手が不完全だからではない。私たち自身も、不完全だからだ。
不完全なふたりが、不器用に手を取り合って進む。それが恋だ。
第二の処方箋。
「自分を置き去りにしないこと。」
相手に合わせすぎると、自分の輪郭がぼやけていく。
好きな人に嫌われたくないあまり、自分を押し殺してしまう。
でも、自分を無くしてまで続く恋に、幸せはない。
まずは、自分を大切に。ありのままの自分を、愛すること。
第三の処方箋。
「待つ勇気を持つこと。」
恋は育つのに時間がかかる。
種をまき、水をやり、陽を浴び、そしてやっと芽吹く。
焦ると、根は育たない。
静かに信じて、待つ。
それは一見、何もしていないようでいて、実はとても強い行為だ。
恋に効く処方箋は、誰かに教えてもらうものじゃない。
自分の中に、そっと見つけるものだ。
そして、それは恋にだけ効くものじゃない。
自分を大切に生きるための、静かなレシピでもある。
たとえ恋に傷ついた夜でも、
静かに胸に手をあて、そっと自分に問うてみたい。
「私は、私をちゃんと愛しているか?」
その答えが、「はい」だと言えるように。
恋も、自分も、そっと育てていこう。