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PERSOna Essayist Special『恋に効く処方箋はどこにある?』APR 29.2025-Nit.Tuesday

恋に悩む夜。どうしてこんなに苦しいのだろうと、ベッドの中で天井を見つめる。

好きな気持ちは本物なのに。相手を思えば思うほど、心はこんなにも脆くなる。



恋は、薬じゃ治らない。

けれど、心に小さな”処方箋”を持つことはできるのだと思う。

それは、どこかに売っている薬ではない。どんな医者でも書いてくれない。

自分だけの、たった一枚の、心のレシピだ。



第一の処方箋。

「完璧な恋を求めないこと。」

恋は不完全だ。思い通りにならないことも、誤解も、すれ違いもある。

でもそれは、相手が不完全だからではない。私たち自身も、不完全だからだ。

不完全なふたりが、不器用に手を取り合って進む。それが恋だ。



第二の処方箋。

「自分を置き去りにしないこと。」

相手に合わせすぎると、自分の輪郭がぼやけていく。

好きな人に嫌われたくないあまり、自分を押し殺してしまう。

でも、自分を無くしてまで続く恋に、幸せはない。

まずは、自分を大切に。ありのままの自分を、愛すること。



第三の処方箋。

「待つ勇気を持つこと。」

恋は育つのに時間がかかる。

種をまき、水をやり、陽を浴び、そしてやっと芽吹く。

焦ると、根は育たない。

静かに信じて、待つ。


それは一見、何もしていないようでいて、実はとても強い行為だ。



恋に効く処方箋は、誰かに教えてもらうものじゃない。

自分の中に、そっと見つけるものだ。


そして、それは恋にだけ効くものじゃない。


自分を大切に生きるための、静かなレシピでもある。



たとえ恋に傷ついた夜でも、

静かに胸に手をあて、そっと自分に問うてみたい。

「私は、私をちゃんと愛しているか?」

その答えが、「はい」だと言えるように。

恋も、自分も、そっと育てていこう。