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Real Dystopia 19『AIが法律を作る世界』MAR 28.2025-Nit.Friday

2045年、法は“人”ではなく“AI”が書くようになった。

かつて、法律とは「人間の良心と理性」によって築かれるべきものだった。
しかしいま、その役割はAIに引き継がれつつある。

──理由は明快だ。
AIは感情に左右されず、膨大な過去判例と社会動向を瞬時に解析し、
“より公平で、より迅速な”ルールを整備できるからだ。

ある国では、すでにAIが法案を起草し、議会では人間が「承認」するだけという仕組みが導入されている。

条文は緻密で、曖昧さがない。適用範囲は広く、社会的弱者にも配慮されている。
…少なくとも、表面上はそう見える。

だが、「正しすぎる法」は、ときに人間の自由を蝕む。

AIは情状酌量をしない。

法の“例外”という、人間的な余白を許さない。

「公平さ」を突き詰めた結果、すべては機械的な一律判断に収束していく。

・親が子を叱っただけで「精神的虐待」とみなされる。

・感情的なつぶやきが「ヘイトスピーチ」として罰則の対象になる。

・無自覚な過失すら、AIには「意図あり」と断定される。

“正義”の名のもと、個人の感情や事情は、ますます無視されてゆく。

それでも、私たちはAIによる「法の最適化」を選ぶのか。
それとも、不完全であっても、人間が人間らしく裁く世界を守るのか。

この物語は、ある国で実際に始まった
「AI立法社会」の現在を描いたフィクションである。

…ただし、フィクションの境界線は、今や限りなく薄くなってきている。