
2025年、世界のあらゆる国が、AIの軍事利用を前提に国家戦略を再構築しはじめた。
今や、兵器に「意思決定能力」が搭載されるのは当たり前の時代。空を飛ぶ無人ドローン、地上を走る自動戦車、ネット空間を漂うAIウイルス。それらはもはや、人間の指示を待つ必要がない。
AIは、情報を瞬時に分析し、最短ルートで「敵」とみなされた対象を排除する。
その判断に“倫理”や“後悔”といった感情は一切ない。
あるのは、ただ“効率”と“正確性”だけだ。
戦争の定義が変わる
戦争はもはや、「人間同士の争い」ではない。
国家の威信や感情の衝突ではなく、アルゴリズムの設計思想の違いが、次の大規模衝突の引き金となる。
「AIが判断した結果だから仕方ない」
──そんな言葉が、無差別攻撃や誤爆の“免罪符”になる未来は、もはやフィクションではない。
一方で、国境を越えたサイバー戦争では、人間の目には見えない領域で日々AI同士の小競り合いが起きている。
電力網、通信、金融システム。
あらゆるインフラが、AIによる“攻撃”と“防御”の狭間で揺れている。
そしてもう一つの現実。兵士たちの意思決定にも、AIは入り込んでいる。戦場での判断はもはや「個人の直感」ではない。
ヘッドセットから聞こえてくるAIの声が
「撃て」「止まれ」「逃げろ」と命令を下す。
兵士は、それに従うだけだ。
なぜ、ここまで来たのか?
答えは明白だ。
人間は「判断を誤る」。
だから、AIに頼った。
人間は「疲れる」。
だから、機械に任せた。
人間は「感情に流される」。
だから、冷徹な計算機を選んだ。
その選択の末にあるのが、「AIによる戦争の自動化」だ。
これまで、抑止力として機能していた“人間の良心”や“外交的配慮”は、AIには存在しない。
AI同士が、最も合理的で最短の解決策を導き出す時──それはつまり、“即時攻撃”や“全面破壊”という結論にたどり着く可能性もある。
エピローグ
AIが戦争を指揮する時代。そこには、もはや「戦争を止める人間」が存在しないかもしれない。
国家が、兵士が、そして市民が、「AIの判断に従う」ことに慣れてしまえば、戦争は限りなく“業務”に近づく。
誰も始めたくなかった戦争を、AIが勝手に始め、勝手に終わらせる──そんな未来は、すでに設計されつつある。
それが「軍事とAIの融合」がもたらす、
リアル・ディストピアの輪郭である。