以前にも似たタイトルで書いた記憶がありますが今回は新たな物語としてお話致します。
人生とは、まるで砂時計のようなものです。砂時計の上部に積もる一粒一粒の砂が、重力に引かれて下に落ちていくように、私たちの時間もまた、止まることなく過ぎ去っていきます。
始まりは、誰もが期待に胸を膨らませた新しい砂時計。
上部にはまだ大量の砂があり、時間は無限に感じられ子ども時代、私たちは時間というものの概念さえも理解できず、ただ無邪気に過ごしていました。
しかし、少しずつ、砂が下に落ちていくたびに、私たちは時間が有限であることを自覚し始めます。
青年期に入ると、人生は加速していきます。
目まぐるしく変わる日々の中で、私たちは夢を追いかけ、目標を立て、それに向かって全力で走り続けます。
仕事、恋愛、家庭、友情といったさまざまな人間関係が、私たちを取り囲み、喜びや悲しみをもたらします。この時期、まだ多くの砂が残っているように感じますが、時計は決して止まらない。落ちた砂はもう元には戻らないのです。
人生の中盤、私たちは砂時計の下に積もる砂の量が増え、上部に残る砂が少なくなっていることに気づきます。
仕事や家庭に追われる中で、これまで以上に「時の流れ」を実感します。悔いのないように生きることを願いながら、過去を振り返り、未来を思い描く。
今まで経験してきたすべてのことが、下部に積もった砂のように、私たちの記憶として積み重なり、今の私たちを形作っているのです。
そして、老年期。
残された砂がわずかになり、時間が限られていることを強く意識するようになります。私たちはもう、無限の時間があるとは考えなくなり、むしろ一瞬一瞬を大切に感じるようになります。毎日が新しい一日であり、その一日が貴重であることに気づくのです。
やがて、最後の砂が落ちる時が来ます。
誰もがその瞬間を迎えますが、砂時計の下部に積み重なった砂粒は、私たちが生きてきた証であり、そのひとつひとつに意味があります。
人生は永遠に続くものではなく、限られた時間の中で、何を経験し、何を学び、どのように他者と関わったかが、私たちの存在を形作るのです。
砂時計をひっくり返すことはできません。
しかし、私たちが歩んできた道のりが、これまで積み上げてきた時間の全てが、誰かの心に残り、未来へと受け継がれていくでしょう。
人生という砂時計は、儚くも美しい旅の象徴なのです。