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私がデザイナーとして生きてきた「原点」の恩師とのひと時。

デザイナーの感性や空気感に拘る理由とは?


昔、私がいた化粧品会社のデザイン室で度々聞く言葉で、、、空気感が違うんだよねとは~!?

当時、大学を卒業後に就職した化粧品会社のデザイン室でのお話し。


当時、会社のデザイン室では上野氏をチーフとするデザイナーの世界では嘱託や顧問という形で

当時では花形のデザイナーがおられました。


その時のチーフは画伯と呼ばれた上野憲男氏で、日本では空気感が違うから撮影は無理だから、、、
今、撮影するならばやっぱりパリに行って撮影するしか無いな~と!

氏の本業は画伯と言われていた方です。

当時、新入社員の私としては、なんか凄い話をしているなと側で事の経緯を聞くばかり(笑)
会議終わり皆が和やかな雰囲気の時にチーフの上野氏にそっと聞いた事が?

空気感が違うとはどういうことなんですか、何故日本では撮影できないんですかと・・・?
彼は笑いながら温和な顔で、稲垣君それはね、この商品をいかに雰囲気を持って

周りの自然の中で撮影しようというコンセプトが求められているから春先の日本では空気感が違うんだよと・・・

つまり当時はコマーシャルの世界では半年先の制作が常に仕上げていくことが当たり前の世界。
要するに世には発表するモノはすべて前倒しのスケジュールで制作をする事が当たり前の世界でした。


そこまでは理解出来ますが、何故空気感がと言う事に拘るのか・・・・?
当時私が理解する事自体、難解な言葉として頭の中でぐるぐると回るのみでした(笑)

後日、デザイン室のナンバー2の武内氏よりお話しを聞く機会がありました!


デザイナーと言うモノは肌感覚を大事にしているからスタジオや外でいくら作り込んだセットでは
目に見えない紫外線や赤外線を通さなければ見えてこない色が有ると言うことでした。

そこまでデザイナーという人達は拘りをもっつているんだ・・・


以来、インテリアデザイナーとして48年間それを忘れること無く、感性と言われるモノの奥の深さを常に意識しております。

デザイナーさんがよく使う言葉は中々一般人とは視点や思考が少し変わっているのかも知れませんね・・・

今年の5月の連休開けの16日に上野氏のアトリエが有る那須塩原に約50年振りに寄せて頂いた時の写真です。

氏は私が来るのを待っていたように嬉しい嬉しいと行ってくれて別れ際には力強いハグをして頂きました。

本当に感謝の思いが一杯の人生の師として感無量でしたが・・・

無情にも、その1ヶ月後に氏はこの地球という星からさようならをされました。(享年90歳)合掌!

下記の絵画は、日本の美術界では「上野ブルー」とまで言わしめた氏の拘りのブルー色です。