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LIFE ESSay 『許さないことで、守っているもの』APR 24.2025-Mor.Thursday

「もういいよ」なんて、軽々しく言えたら、どれだけ楽だろう。

でも正直、いまだに許せてないことがある。 あたしの中には、あの瞬間の温度と痛みがそのまんま残ってる。

許せって言われるたび、 「そんな簡単に消えるもんじゃないんだよ」って、 叫びたくなる気持ちになる。



昔、すごく仲の良かった友達がいた。 何でも話してたし、夜中の電話も、くだらないLINEのスタンプも、 全部、日常だった。

でもある日、ふとした言葉で崩れた。 たぶん向こうに悪気はなかった。 でも、あたしには深く突き刺さってしまった。

それ以来、ちゃんと話してない。 許してもいいのかもしれないけど、 どこかで、「許さない自分」が自分を守ってる気がする。



「忘れたら楽になるよ」 って言う人もいるけど、 忘れたくないんだよね。

あのときの自分を裏切りたくない。 あのとき傷ついた自分に、 「そんなのどうでもよかったんだ」って言いたくない。

だから、許さない。 というより、許せないままでいることに意味がある気がしてる。



でもね。 それを大事にしすぎて、 人に心を開けなくなったり、 誰かを疑う癖がついてるのも、ちょっとわかってる。

許さないことで守ってるのは、 自分のプライドかもしれないし、 あのとき泣いた自分の存在価値かもしれないし、 ほんとうは、今の“ちょっと弱ってる自分”だったりする。



最近は思うんだ。 「許す」って、誰かを解放することじゃなくて、 たぶん、あたし自身をちょっとだけ楽にする方法なのかもしれないって。

まだできないけど、 いつか「許す」が選べる日が来たらいいな、って思ってる。

それまでは、 「許さないあたし」も、ちゃんと抱えて、生きていこうと思う。



だって、どっちにしたって、 あたしがあたしを守らなきゃいけないことに、 変わりはないから。

Epilogue


たぶん許せなくても、
ほんとはずっと、許されたいと思ってる。

画像
許さないことで、守っているもの


だから今日くらいは、自分のこと、ちょっと甘やかしていいよね。