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LIFE ESSay 05『好きなことして生きていく』の罠 ~趣味は仕事にするな〜MAR 07.2025-Mor.Friday

「好きなことを仕事にすれば、人生はもっと楽しくなる」

そう信じて飛び込んだはずなのに、気づけば「好きなこと」が「やらなければならないこと」に変わっていた。

絵を描くのが好きな人がいる。
子どもの頃から夢中になって、時間を忘れて描いていた。

けれど、それを仕事にした途端、「納期」が生まれ、「クライアントの要望」が入り、「売れるかどうか」を考えなければならなくなる。

「自由に描いてください」と言われても、実際には「売れるものを描いてください」と同じ意味だったりする。

好きなことを仕事にするというのは、「好きなことをお金のためにやる」ということだ。

そして、お金が絡んだ瞬間、”好き” の輪郭はぼやけ始める。

お金になるものしか作れなくなる。
締め切りや評価に追われ、自由が奪われる。
誰かの期待を背負いすぎて、好きだったはずのものが嫌いになる。

カフェが好きだからといって、自分の店を開いた人が、経営に追われてコーヒーをゆっくり飲む時間すらなくなることがある。

仕事には責任がついてまわる。

「好きだったこと」も、「やらなければならないこと」に変わった瞬間、義務とストレスが生まれる。「趣味は趣味のままが一番幸せだった」


そう話す人を、何人も見てきた。もちろん、好きなことを仕事にして成功する人もいる。

でも、それができるのは、「仕事として続ける覚悟」がある人だけだ。

“好き” という気持ちだけで飛び込むと、「こんなはずじゃなかった」と思う日が、きっとやってくる。

だから、もし「好きなことを仕事にしよう」と思ったら、「それを仕事にしても、本当に心から楽しめるのか?」と、一度、自分に問いかけてみるのも悪くない。

好きなことは、必ずしも仕事にしなくてもいい。


むしろ、”好きなままでいられる方法” を考える方が、ずっと大事だったりするのだから。