
「この人、ちょっとムリかも」 そう思ってしまう“直感”は、たいてい初対面のわずか数秒でやってくる。
それは声のトーンかもしれないし、 目の奥にある温度かもしれない。
あるいは、言葉の間に生まれる“沈黙の質”。
たとえ笑顔で挨拶していても、 その奥にある「なにか」を、 人は無意識に感じ取っているのだと思う。
「初対面でムリ」──そんな言葉を聞くと、 まるで人を外見や印象だけで判断しているようで、 冷たく聞こえるかもしれない。
でも私は、この感覚こそ、 人間が本来持っている“生き抜くためのセンサー”だと思っている。
実際、「ムリかも」と感じた人に、 あとで大きなストレスを与えられたり、 境界線を超えられたりした経験がある。
逆に、「なぜか落ち着く」「初めてじゃないみたい」 そんな安心を感じる人もいる。
これは理屈じゃない。 その人の“波長”と、自分の“肌感覚”が、 無意識のレベルで交差しているだけ。
もちろん、人は変わる。 自分も変わる。 だから、時間をかけて見えてくる部分もある。
でも、“初対面で感じたこと”を なかったことにはしないでいいと思う。
あれは、自分を守るためのメッセージ。 自分の輪郭を保つための、静かなサイレン。
「好きか嫌いか」じゃなくて、 「一緒にいて自分がどうなるか」 それを見ている感覚。
相手のことを否定するんじゃなく、 自分を守る、という選択として、 「ムリ」という判断が存在してもいい。
それでも関係を深めたいと思うなら、 その“ムリ”がどこから来ているのか、 そっと見つめてみればいい。
大切なのは、 「直感」を否定するのではなく、 それと丁寧に向き合う力だと思う。
初対面で感じる違和感。 それは、あなたの感性が“ちゃんと生きてる証”でもある。
Epilogue
人を好きになるより前に、
自分の違和感をちゃんと感じられること。
それって、たぶん一番誠実な出会い方なのかもしれない。
直感は、感性という名の手紙。
まずは、そこから読んであげて。