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LIFE ESSay 『消えたいわけじゃない、少し休みたいだけ』APR 20.2025-Mor.Sunday

誰にも言えなかったけど、 ときどき全部を手放して、どこか遠くへ行きたくなる。

スマホも、予定も、人間関係も置いて、 名前も役割もぜんぶ脱ぎ捨てて、 静かな場所で、ただひとりになりたいと思う。

でもそれは、「消えたい」んじゃない。 ほんとうはただ、「少し休みたいだけ」なんだ。



毎日、誰かの言葉に反応して、 愛想よく笑って、当たり障りなく過ごす。

いい人って、しんどい。 でも、それを崩す勇気がない。

だから、笑ってる。 ほんとうは、何も感じられない日だってあるのに。

「がんばってるね」って言われるたびに、 泣きたくなる自分がいる。



そんなある日、ふらっと立ち寄った公園で、 ベンチに座って、ただ空を見上げた。

雲が流れていた。 風が頬を撫でていった。

それだけなのに、涙が出た。

わたし、生きてた。 ただ、それだけでよかった。



「がんばらなきゃ」って言い聞かせる日々よりも、 「ちょっと休もうか」って言える自分でいたい。

誰にも迷惑をかけない場所で、 誰の期待にも応えなくていい時間を持つことは、 決して“逃げ”じゃない。

それは、自分を守るための、大切な選択。



今日、うまく笑えなかったとしても。 部屋から出られなかったとしても。 何も生み出せなかったとしても。

それでも、「わたし」は、ちゃんとここにいる。

消えたいわけじゃない。 少し、休みたいだけ。

そう思える日は、きっと少しずつ、自分を取り戻している日なんだと思う。


Epilogue

明日はもう少し、心がやわらかいかもしれない。

だから今日は、ちゃんと休んでいい。


そうして優しく、毛布を掛けてあげるように……