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LIFE ESSay 「ありがとう」は魔法じゃない APR 17.2025-Mor.Thursday

「ありがとう」って、なんか魔法みたいに言われることがあるじゃない?
“ありがとうを言えば、すべてが丸く収まる”みたいな。

でもさ、ぶっちゃけ、そんな都合よくいく?
うまくいかなかった恋とか、傷つけ合った関係とか。

そこに「ありがとう」って置いたって、片付かないものはある。



あたしは昔、ある人に振られたとき、最後にこう言われたの。

「でも、いろいろありがとう。楽しかったよ」って。

いやいやいやいや、待って?
それ、ほんとに言いたかった?
それ、言っとけば自分の中だけスッキリしません? って。

あたし、その一言で逆に涙止まんなくなったもん。



たぶん、「ありがとう」って言葉は、
言う側の“逃げ場所”にもなるし、
受け取る側にとっては、ナイフにもなる。

本当のありがとうってさ、
ちゃんと向き合ったあとにしか出てこないもんだと思うんだよね。



で、気づいたのよ。

自分が誰かに「ありがとう」って言ってる時、
その言葉をちゃんと“届けよう”としてるかどうか、それが一番大事なんじゃないかって。

自動返信みたいな「ありがと〜」じゃなくてさ、
言った後に、ちょっと胸がじわってするような、
あれよ、ちょっと黙って目を合わせちゃうくらいの“間”があるありがとう。



そういう「ありがとう」は、魔法じゃない。

でも、
その言葉がきっかけで、
ちょっと勇気が出たり、誰かとつながれたり、
沈黙が終わったりすることはある。

それって、
たぶん魔法以上に強いことかもしれない。



今のあたしは、無理に「ありがとう」って言わない。

でも、ちゃんと心で思えたときだけ、
ちゃんとその人の目を見て、言うようにしてる。

「ありがとう」って、きっと、そういう言葉なんだと思う。

エピローグ

ほんとに届く「ありがとう」は、
ちょっと照れくさくて、
ほんの少し、沈黙を連れてくる。

魔法じゃなくても、
その人の中に、ずっと残ってくれたら──
それが、たぶん一番いい。

画像
“Thank you” isn’t magic. でも、
その一言が人生のどこかを照らすことはある。

ちゃんと届いた「ありがとう」には、
魔法以上のちからがあるのかもしれない。