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Real Dystopia 14『あなたの行動が数値化される』MAR 21.2025–Nit.Friday

2042年:数値化社会の幕開け

「今朝のあなたの評価スコアは-12ポイントです」「理由:朝食に高カロリー食品を摂取、通勤時にエスカレーター使用」

スマートレンズに映る通知を見たタカシは、無意識に背筋を伸ばした。
見られている、どこかで誰かに。いや、AIだ。

AIは彼の行動すべてをリアルタイムで記録され「健康」「環境配慮」「公共マナー」など、5つのカテゴリーでスコアリングしていたのだ。

評価の低下は、保険料の上昇に始まり、通勤エリアの制限や買い物履歴のフィルタリングなどにもあらゆる生活領域に直結する全てを。

人々は、”正解の行動”しか選ばなくなった。


2050年:「予測される人格」時代

タカシは、大学入試の選抜基準が「行動データ」だと聞いた。「君の“将来の思考傾向”はリスクありと判断されました」と対応する


彼は反論もできず、AIによる“未来予測人格プロファイル”に従うしかなかった。試験も面接も不要。必要なのは、10年間の生活記録だけ。


そこには「人となり」も「思考の傾向」も、すべて刻まれているからだ。

もはや人間は、”過去の記録”で未来を裁かれる存在となりはてた…….


2065年:匿名性の完全消失


「自由って、本来は選択できることじゃないのか?」タカシの心の声は、誰にも届かない。

今や、どんな小さな“反社会的傾向”もデータから抽出され、未然に排除される。

●ひとりで長時間歩く → 孤立のリスク

●AI広告を5秒以上無視 → 抵抗の傾向あり

●公共空間で笑わない → 共感力の低下疑い


無言のうちに、社会から「好ましくない人物」として判断で振り分けられる。

「自由意志」は、もはや“想定された最適行動”に吸収され、消えていった。


エピローグ:タカシの選択

ある日タカシは、旧型スマホに残された“匿名SNS”のログを見つけた。


そこには、名前もスコアもない、ただの言葉だけが並んでいた。

「誰も知らない自分で、言葉を発していい」
それが、かつての“自由”だった。


タカシはつぶやいた。
「点数じゃ、俺は測れない」

そして、すべてのカメラの前で、彼はレンズに指をかざした。


“記録”から、自分を消すために——。