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LIFE ESSAY 14『繁栄と衰退の狭間で–半導体バブルが生む未来』MAR 20.2025-Mor.Thursday

私が思う日本経済の虚構と現実 ―

かつて炭鉱で栄えた町は、炭鉱が閉じればゴーストタウンになる。造船で賑わった港町は、船を造らなくなれば、ただの寂れた岸辺になる。


では、半導体で一時的な繁栄を享受している千歳や熊本は、果たして本当に未来を約束された都市なのだろうか?

世界的な半導体需要の高まりを背景に、日本政府は多額の補助金を投入し、
**「半導体立国の復活」**とやらを掲げた。


台湾TSMC、アメリカの半導体企業…海外勢が相次いで日本国内に進出し、千歳市、熊本市は今まさにバブル景気のような高揚感に包まれている。

しかし、その裏では何が起こっているのか。

家賃は高騰し、物価は異常な値上げラッシュ。地価は跳ね上がり、普通の家庭が暮らすには厳しい状況になりつつある。


そして何よりも深刻なのは、人件費の爆発的な上昇。今まで地元で普通に働いていた人々の給与水準が一気に引き上げられたかと思えば、一部の企業は**「高すぎる人件費」**を理由に、すでに採用の見直しを始めている。

まるで、泡のような成長。バブル経済の再来だ。


「支えられる街」と「捨てられる街」

では、この好景気はどこまで続くのか。
半導体産業が今後数十年にわたり盤石な成長を続けられると、誰が保証できる?


政府の補助金が尽きたとき、外資企業がより安価な労働力を求めて撤退したとき、この街はどうなる?

答えは、私たちが過去に何度も見てきたはずだ。
炭鉱、造船、製鉄、自動車…日本の産業は常に、拠点を捨てて成長してきた。


人間は過去から学べない生き物か

「町おこし」という美名のもと、過去も同じように**政府の誘導で「成長する」と言われた地域は多くあった。


**だが、国の補助金が尽きれば企業は去り、そこに残るのは、一度上がった物価と、下がらない生活コスト、そして取り残された人々。
なぜ、同じ過ちを繰り返すのだろう?

確かに、**短期的には「活気ある地方」**に見えるだろう。しかし、将来、衰退の道を辿ることが決まっているなら、今のこの異常なバブルの狂騒が、ただの儚い幻想でしかないことは明らかだ。

バブルが弾けるのは、いつも一瞬だ。



未来を考えるのは、今しかない。
このまま、またしても「繁栄と衰退のループ」に身を任せるのか。

それとも、本当の持続可能な成長を考えるのか。
今こそ、日本人は問われている。

エピローグ


繰り返される末路 – 衰退した街の驚愕の結末
バブルが弾けるのは一瞬だ。しかし、その後に待つのは、ゆっくりと腐敗し、崩れ落ちていく現実である。

千歳市、熊本市がかつての繁栄を取り戻す「再生の物語」など、どこにもない。そこに広がるのは、かつての活気を失ったゴーストタウン化した街の姿だ。


廃墟と化す、かつての繁栄の象徴


工場の閉鎖が発表されると、街にいた人々は蜘蛛の子を散らすように去っていく。
タワーマンションは空室だらけになり、最初は賃料を下げて入居者を募るが、次第にそれすらも難しくなる。


立派なビルはオフィスとしての役目を果たせなくなり、やがてシャッターが下ろされたまま、風に揺れるだけの存在となる。

駅前の商業施設は、かつて半導体産業に依存していた企業の撤退とともに、テナントが次々に抜け落ちる。


地元の飲食店は客足が途絶え、スーパーは値下げを繰り返すも経営は厳しく、ついには閉店ラッシュが続く。

人々が去った後の街は、まるで戦後の焼け野原のように荒廃していく。

政府の「地方創生プロジェクト」はすでに次の拠点に目を向けており、この街の再生には目もくれない。

国はもはや、ここに予算を割くこともなくなっている。


「地元に残った人々」の末路


だが、すべての人がこの街を捨てられるわけではない。

家を買ってしまった人、高騰した時期にローンを組んでしまった人、家族を抱えて簡単には移住できない人々…彼らは取り残される。

「せめて工場跡地が再利用されれば…」と淡い期待を抱くが、そんな都合のいい話はない。


企業が撤退した後に残るのは、使われることのない巨大な廃墟と、かつての雇用が消えたことで生活基盤を失った住民たちだ。

● 仕事がない。
再就職を試みるが、地元の雇用は壊滅的。ハローワークには長蛇の列ができ、給料はかつての半分以下。若者はすぐに他県へ出て行き、地元に残るのは年老いた住民ばかり。

● 不動産は負債と化す。
「これから成長する街だから」と勧められ購入した住宅の価値は暴落。ローンだけが重くのしかかり、売りたくても誰も買い手がつかない。結果、空き家と化した家々が並ぶ「無人ゾーン」が街の各所に出現する。

● 治安の悪化。
人が減り、夜の街は暗く静まり返る。廃墟と化したビルや空き家には、不法投棄や犯罪が横行するようになり、元々の住民すら夜道を歩くのが怖くなる。


人間の愚かさが生んだ、静かな崩壊


この光景、どこかで見たことはないだろうか?
バブル経済が崩壊した後の新宿、六本木の不動産価格暴落。

かつて製鉄や造船で栄えたが、今はゴーストタウンと化した地方都市。


炭鉱閉鎖で一夜にして衰退した北海道の町々。
同じ過ちを、何度繰り返せば気が済むのだろう?

一時的な成長のために全てを投じ、やがてその成長が止まった途端に、企業も政府も住民もすべてが放棄される。

このサイクルは、すでに日本の歴史の中で何度も証明されてきた。

それでも、人間は目の前の**「好景気の誘惑」**に抗えず、次々に同じ道を歩む。


結論:今、問われる選択


バブルに浮かれ、熱狂に身を任せるのか?
それとも、長期的な未来を見据え、冷静な判断を下すのか?

「繁栄の裏には必ず衰退がある」

これはもはや、歴史が証明している事実だ。
だが、それを知りながらも人は「自分だけは例外」と信じたがる。

この警鐘を聞くか、それともまた同じ悲劇を何度でも繰り返すのか…….

今、この瞬間こそ、私たちが正に選択を迫られている時なのだ!