
~電話が映す、夫婦の距離~
「あのね、今日さ…」
スマホの画面に、20回の不在着信。
妻から夫へ――。
20回。
20回も電話をかけたのに、出なかった。
「まさか事故でも?」と心配するかと思いきや、
「どうせ大した用じゃないだろう」と気にも留めない夫。
でも、そもそも大した用じゃなきゃ、電話しちゃいけないの?
「話したいことがある」
「ただ声が聞きたい」
「今日あったどうでもいいことを聞いてほしい」
それだけじゃ、ダメなの?
「昔は、話せば尽きなかったのに」
思い出す。
まだ結婚前、夜中まで電話をしていた頃。
お互いに眠たいくせに、「先に切るのはどっち?」 みたいな駆け引きをしてた時代。
「もう寝ようよ」と言いながら、結局30分延長。
話すことが尽きなかった。
どんなにくだらない話でも、笑いながら聞いてく
れた。でも、あれから何年?
気づけば、夫婦の会話は8秒で終わる。
むしろ、電話すらつながらない。
「通話時間が映し出すもの」
このデータを見て、なんだか妙に納得した。
・ 夫→妻 の通話時間 → 8秒
・ 妻→夫 の結果 → 20回の不在着信
一方で、
・ 母→結婚した娘 の通話時間 → 5時間35分
・ 婚約カップル → 1時間30分
…ねえ、どういうこと?
なぜ、家族になった途端、話す時間は短くなるの?
なぜ、結婚する前は「君の声をずっと聞いていたい」って言ってたのに、結婚したら「要件を簡潔に」になっちゃうの?
「言葉が消えた夫婦の、その先に」
夫婦の会話がなくなると、
家の中に静かな「無言の空気」が流れるようになる。
「ケンカするほど仲がいい」なんて言うけれど、
本当に怖いのは、ケンカすらしなくなること。
怒ることもない。
文句も言わない。
期待もしない。
「まあ、そんなもんか」
「話してもしょうがないしな」
…そうして、お互いに何も言わなくなったとき、
夫婦は、本当の意味で「終わり」に向かい始める。
「夫婦の会話は、無駄じゃない」
「で、結局、何が言いたいの?」
夫にそう言われるのがイヤで、
必要最低限のことしか話さなくなった。
だけど、考えてみると――
夫婦の会話って、何か意味がなきゃいけないの?
ただの世間話でもいい。
たわいない話でもいい。
言葉にしなくても通じる、なんて言わずに、
「聞いてよ」と伝えることが、大事なんじゃない?
「20回目の電話がつながるとき」
もし、最近夫婦の会話が減ったなら――
思い切って、電話をかけてみよう。
20回もかけなくていい。
「ねえ、ちょっと聞いてよ」と、たった一度でもいい。
「何の話?」と聞かれたら、
「別に、大したことじゃないけどさ」と言ってしまえばいい。
たぶん、夫は一瞬、面倒くさそうな顔をするかもしれない。
でも、その「たわいない会話」が、
いつか、ふたりの「途切れた時間」を取り戻す
きっかけになるかもしれないから・・・(笑)

あえて「LIFE ESSay」として書いて見ました。