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『冷蔵庫の中で見つけた人生のスパイス』(ライフエッセイ・前篇) 1月5日

私の冷蔵庫には、いつも何もない。いや、正確には「何もないように見える」が正しい。

その日、ヨウコが遊びに来ることになった。彼女とはもう10年以上の付き合いだが、特に説明することはない。そういうものだろう。彼女はいつだって抜け目のない『しっかり女子』で、たぶんこれからもそうだ。
一方で私は……まあ、適当なダメ男だな。そんな自分をヨウコは笑うし、私はその笑いに救われる。それで十分だ。

さて、そんなある日、冷蔵庫を開けたら驚いた。そこには、醤油とバターと乾燥パスタだけが静かに並んでいたのだ。

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醤油とバターで作るシンプルなパスタ。冷蔵庫にある限られた材料から生まれる一皿が、人生のスパイスを教えてくれる。


「ああ、私の人生そのものだな。」

そう思った瞬間、私の中で何かがピカッと光った。


冷蔵庫と私の小さな戦争

ヨウコが来るまでに、少しは「ちゃんとした人間」を演じるために、冷蔵庫を掃除することにしといたほうが良さそうだ。
だけど、そこからが壮絶だった。

まず、奥から出てきたのは、去年の正月に買ったお餅(緑の斑点付き)。
「うわっ!カビって意外とアーティスティック!」

次に見つけたのは、いつのかわからないバナナ。いや、これはもはやバナナではなく「謎の茶色い塊」だ。
「……誰がこんなもの買ったんだ?」
もちろん私に決まっているのだが、そう考えると自分に腹が立つ。

だんだん掃除というより「過去の私との対話」みたいになってきた。


パスタに込めた人生の味

冷蔵庫がスッキリした頃には、もうヨウコが来るまであまり時間がなかった。
でも、焦った私はスマホで「醤油 バター パスタ レシピ」を検索し、目に飛び込んできた簡単レシピを採用することにした。

「醤油とバターを炒めるだけで、本当に美味しいの?」

半信半疑で作ってみたら、これが驚きの美味しさ。シンプルだけど、しっかりした味わいで、どこか懐かしさもある。


ヨウコの来訪と哲学の夜

夕方、ヨウコがやってきた。彼女にこのパスタを振る舞うと、彼女は驚いた顔をして言った。
「これ、すごく美味しい!これだけで作ったの?」

私は胸を張って答えた。
「そうだよ、冷蔵庫にあったものだけで作ったものだよ…人生って、案外これで回るもなんだな」

ヨウコは目を丸くして笑いながら言った。
「トオル、あんたって本当に不思議よね。そんなふうに思えるのが羨ましい。」

その一言が、私の心にじんわりと響いた。


冷蔵庫の中に広がる人生

その夜、ヨウコと一緒にパスタを食べながら、私たちはいろんな話をした。人生のこと、仕事のこと、過去の恋愛のこと――すべて、笑い話に変えてしまうのが私たち男女ともだちの得意技だな。

冷蔵庫にあった「何もないように見えるもの」から生まれた一皿の料理。それが、なんだか私たちの生き方そのものに思えた。

「人生も冷蔵庫も、中身がちょっとだけでも、工夫次第で案外なんとかなる(笑)」

そう呟きながら、私はパスタの最後の一口を口に運んだ。
その瞬間、私は心の中で小さくガッツポーズを決めていた。

これからも、冷蔵庫と人生に向き合う「適当だけど全力な私」でいようと思う。


あとがき

冷蔵庫には、私の人生が詰まっている。
そして、その人生には少しの醤油とバターがあれば、十分なのだ。

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