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宇宙銀行の贈り物!?

今日の『short Story』です。

ケンジは、暗い部屋で独り座っていた。30歳を過ぎても、まだ人生の目標を見つけられないまま、日々をただ流されるように過ごしていた。
仕事は単調で、夢も希望もどこか遠くに感じる。


そんなある日、彼の運命は思いもよらない形で変わることになる。

古びた本屋の片隅で、ふと手に取った一冊の本。それは「宇宙銀行の秘密」という謎めいたタイトルが書かれた本だった。ページをめくると、そこには「宇宙銀行にオーダーを送る方法」が詳細に記されていた。

「無限の富を手に入れる方法だって?」ケンジはその荒唐無稽な内容に思わず笑った。だが、心の奥底では、「もし本当なら…」という期待が芽生えていた。

半信半疑のまま、ケンジは本に書かれている通りにオーダーを送ることにした。真夜中の静けさの中、彼は目を閉じ、心の中でこう叫んだ。「1億円がほしい!今すぐ!」

だが、次の日の朝、何も変わらなかった。銀行口座にも1円たりとも増えていない。それどころか、いつも通りの退屈な仕事に戻るだけだった。「やっぱり嘘だったんだ」と、彼は失望の溜息をつく。

それでも数日後、ケンジの人生に小さな変化が訪れる。偶然出会った旧友が、ケンジに新しいプロジェクトを持ちかけた。それはケンジがずっと興味を持っていた分野だったが、手を出す勇気がなかったものだ。

「これは、宇宙銀行からの贈り物だろうか?」ケンジは、半ば冗談のようにそう思いながらも、そのプロジェクトに全力を注ぐことにした。やがてそのプロジェクトは思いがけない成功を収め、ケンジは自分の情熱を見つけたのだ。

何度も挫折を味わいながらも、彼は気づく。
「宇宙銀行は、ただお金をポンと渡してくれるわけじゃない。でも、人生において本当に必要なものを、目に見えない形で届けてくれるんだ」

ケンジの周りにはいつの間にか、人々のサポートやチャンスが次々と訪れていた。彼は次第に、宇宙銀行の真の力を理解し始めた。それは、お金や物質ではなく、「機会」や「つながり」を与える力だったのだ。

数年後、ケンジはすっかり成功者の一人として知られる存在となっていた。彼の心にはあの日出会った本の言葉が刻まれていた。


「本当の富とは、自分の情熱を見つけ、それに向かって進むことだ。そして、その情熱を信じた時、宇宙銀行はあなたに無限の可能性を与えてくれる。」

彼はふと立ち止まり、空を見上げる。そこには広がる無限の宇宙が、彼を優しく包み込むように輝いていた。