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PERSOna Essayist Special『「初対面でムリ」は正しい感覚か?』APR 21.2025-Nit.Monday

「この人、ちょっとムリかも」 そう思ってしまう“直感”は、たいてい初対面のわずか数秒でやってくる。

それは声のトーンかもしれないし、 目の奥にある温度かもしれない。

あるいは、言葉の間に生まれる“沈黙の質”。

たとえ笑顔で挨拶していても、 その奥にある「なにか」を、 人は無意識に感じ取っているのだと思う。



「初対面でムリ」──そんな言葉を聞くと、 まるで人を外見や印象だけで判断しているようで、 冷たく聞こえるかもしれない。

でも私は、この感覚こそ、 人間が本来持っている“生き抜くためのセンサー”だと思っている。


実際、「ムリかも」と感じた人に、 あとで大きなストレスを与えられたり、 境界線を超えられたりした経験がある。

逆に、「なぜか落ち着く」「初めてじゃないみたい」 そんな安心を感じる人もいる。

これは理屈じゃない。 その人の“波長”と、自分の“肌感覚”が、 無意識のレベルで交差しているだけ。



もちろん、人は変わる。 自分も変わる。 だから、時間をかけて見えてくる部分もある。

でも、“初対面で感じたこと”を なかったことにはしないでいいと思う。

あれは、自分を守るためのメッセージ。 自分の輪郭を保つための、静かなサイレン。



「好きか嫌いか」じゃなくて、 「一緒にいて自分がどうなるか」 それを見ている感覚。

相手のことを否定するんじゃなく、 自分を守る、という選択として、 「ムリ」という判断が存在してもいい。



それでも関係を深めたいと思うなら、 その“ムリ”がどこから来ているのか、 そっと見つめてみればいい。

大切なのは、 「直感」を否定するのではなく、 それと丁寧に向き合う力だと思う。

初対面で感じる違和感。 それは、あなたの感性が“ちゃんと生きてる証”でもある。

Epilogue

人を好きになるより前に、
自分の違和感をちゃんと感じられること。

それって、たぶん一番誠実な出会い方なのかもしれない。

直感は、感性という名の手紙。
まずは、そこから読んであげて。