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LIFE ESsay『人生の選択肢、その先に待つもの(前編)』

1. LINE既読の遅れが告げる変化

「おかしいな。」
ある日、ふと彼女からの返信が遅れていることに気がついた。それまでの彼女は、朝一番の「おはよう」にも夜遅くの「おやすみ」にも、迷わず応じてくれる人だった。LINEの通知音が、二人の日常のリズムを作っていたと言っても過言ではない。

「どうしたんだろう?」
返信が遅れる理由を考えてみるが、何も思い当たらない。やがて、短い返信がポツリと届く。
「元気だよ。」

その言葉はどこかよそよそしく、温度を感じられなかった。


2. 詐欺と彼女の崩壊

やがて、彼女が多額の詐欺被害に遭ったことを知った。その額、2000万円。これまで築いてきたものすべてを失ったという事実が、彼女を深い闇へと引きずり込んでいた。電話越しに聞いた彼女の声は、いつもの明るさを完全に失っていた。
「大丈夫?」と聞くのが精一杯だった。

「私の問題だから……大丈夫。」
その言葉は、逆に彼女が大丈夫でないことを告げていた。

さらに数週間後、彼女から一方的に別れを告げられた。
「これ以上、あなたに迷惑をかけたくない。」
迷惑?そんなことを思う関係ではなかったはずだ。7年間、喜びも悲しみも共有し、何もかも分かち合ってきた。その一言が、彼女の心の深い孤独を映し出しているようで、胸が締めつけられた。


3. 想いが届かないもどかしさ

私は必死にメッセージを送り続けた。
「迷惑なんて思ったことは一度もない。」
「何があっても一緒に乗り越えたい。」

しかし、その言葉はまるで虚空に投げかけた声のように、返ってこなかった。返信が届かない時間が積み重なるたび、私は自分が無力であることを痛感した。それでも、彼女を支えたいという思いだけが、私を突き動かしていた。


4. 二人の絆の裏側

彼女とは、いつも楽しい時間を過ごしてきた。お互いの夢や目標について語り合い、小さな成功を祝ったり、大きな挫折を一緒に乗り越えたりしてきた。彼女は、詐欺に遭うまではその笑顔と明るさで、私にとって大きな支えだった。
「二人なら、どんなことも乗り越えられる。」
そう信じていた。

しかし、彼女はその絆を一方的に断ち切った。その理由が「迷惑をかけたくない」というものであったことが、どうしても納得できなかった。

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