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ファンタジー小説 第3話:「奇跡の言葉、届いた想い」

シーン1:新たな提案

Momoは、診察室の窓から差し込むやわらかな朝日を受けながら、カルテを整理していた。扉が開き、片桐陽一が姿を見せる。彼はいつもと変わらない穏やかな笑顔を浮かべているが、その瞳にはどこか期待に満ちた光があった。

Momo: 「片桐さん、体調はどうですか?」

片桐: 「体は元気そのものですよ。ですが、今日は体の話ではなく、新しい提案を持ってきました。」

Momo: 「提案ですか?」

片桐: 「ええ。私たちが始める『言葉探求プロジェクト』のことです。具体的にどんな形で動き出すのか、考えてみました。」

Momoは彼の熱意に少し驚きながらも、話を促す。

片桐: 「患者さんの話をもっと深く聞き、彼らの心に響く言葉を探す。それを形にして残していけたらと思うんです。」

Momo: 「つまり、患者さんとコミュニケーションを通じて、その人に合った『言葉』を見つけるということですね。」

片桐: 「そうです。そして、それを文章にして、誰かの支えになる形で届ける。言葉の力を信じて。」


シーン2:難しい患者との出会い

その日の午後、Momoは「特に話をしない患者」として知られる高齢の女性、北川節子(82歳)の診察に立ち会うことになった。節子は車椅子に座り、視線を床に落としたまま動こうとしない。

Momo: 「北川さん、今日は体調はいかがですか?」

節子は小さくうなずくだけで、言葉を発さなかった。Momoはどうすれば彼女の心に届くのかを考えながら、ふと片桐に目を向けた。

片桐: 「私に少し話をさせてもらえませんか?」

Momoは頷き、片桐が節子に近づく。

片桐: 「北川さん、私もあなたと同じように少し不器用な人間なんです。でも、何かを伝えるとき、言葉が助けてくれることがあります。」

節子は初めて片桐の顔を見た。その瞳には少し驚きが混じっていた。

片桐: 「あなたが何を考えているのか、何に困っているのか、私はわかりません。でも、もし少しだけ話をしてもいいと思うなら、聞かせてもらえませんか?」

沈黙が流れたあと、節子は静かに口を開いた。

節子: 「……誰も、私の話を聞いてくれる人なんていなかった。」

片桐: 「私は聞きたいと思っています。そして、あなたの言葉が他の誰かの力になるかもしれない。」


シーン3:言葉が生む奇跡

その後、節子は少しずつ自分の思いを語り始めた。戦争で失った家族のこと、苦労して育てた子どもたちのこと、そして最近亡くなった最愛の夫のこと。彼女の話は、片桐が手を止める暇もないほど溢れ出てきた。

Momoはそれをそばで聞きながら、言葉が人を癒す瞬間を目の当たりにしていた。

Momo: 「片桐さん、あなたの言葉が、彼女の心を動かしたんですね。」

片桐: 「いや、彼女自身の中にあった言葉が解き放たれただけですよ。」

節子は話し終わった後、涙を流しながら静かに笑った。

節子: 「こんなにたくさん話したのは何十年ぶりだろう……ありがとう。」


シーン4:プロジェクトの形が見える

診察が終わり、片桐とMomoは病院の廊下で歩きながら話をした。

Momo: 「言葉探求プロジェクト、素敵なスタートになりましたね。」

片桐: 「ええ。でも、まだ始まったばかりです。次はどんな人に出会えるのか、楽しみですね。」

Momo: 「片桐さん、次回までにあなたが今日のことを文章にしてきてくれませんか?それを私が読んで、また次の患者さんに生かしていきたいと思います。」

片桐: 「了解です。私が言葉にできること、全てを綴ってみますよ。」


エピローグ:言葉の力が紡ぐ未来

その夜、片桐は家に帰り、万年筆を手に取った。今日の出来事を振り返りながら、彼は初めてプロジェクトの一環として文章を書いた。

「言葉は見えないけれど、人と人を繋ぐ確かな橋だ。今日の北川さんの話が、それを証明してくれた。」

その文章を読み返した片桐は、小さな達成感を感じながら微笑んだ。


【次回予告】
片桐が綴った文章がMomoを通じて病院の患者たちに広まり始める。それがもたらす新たな奇跡と、二人の言葉の旅のさらなる展開とは…。

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