私が最初にこの本を読んだときは、確か小学生の時でしたが、今現在、再度読み返してみればこれは大人が読むべき本だと気づきました(笑)
著者の解説
トーベ・ヤンソンは1914年、フィンランドのヘルシンキで生まれ。父は彫刻家、母はイラストレーターという芸術的な家庭で育ち、彼女は早くから芸術に触れ、絵を描くことや物語を紡ぐことに興味を持ちました。
読後の感想
トーベ・ヤンソンは、フィンランドの海岸沿いにある静かな島で過ごしながら、彼女の目の前に広がる荒々しい海と、風に揺れる松の木々が、彼女の心の中にある深い思索を映し出していました。
トーベは、常に自由を求め、社会や他者からの束縛を嫌っていた芸術家でした。
彼女にとって、芸術は自分を解放する手段であり、自分の内面を表現する自由の象徴でした。
この島で、彼女は自然と深く結びつき自然は、彼女にとって単なる背景ではなく、彼女の作品や人生に深い影響を与える存在になり、彼女が描くムーミン谷の風景は、この島での経験から生まれたものであり、自然の美しさと厳しさが混ざり合った独特の雰囲気を持っています。
ある日、トーベは島の断崖絶壁に立ち、海の彼方に沈む夕日を眺めていた時に、彼女の頭の中には「自由」と「孤独」という二つの概念が渦巻いていました。
彼女は自分の人生を振り返り、自由を追い求めることで多くの孤独を経験したことを思い出しました。しかし、その孤独が彼女の創造力を刺激し、彼女の作品に深みを与えたのも事実です。
その夕暮れの中で、トーベはムーミン谷のキャラクターたちのことを考えていました。
彼らはそれぞれが異なる性格を持ち、それぞれが自由と共生を追い求めていました。
ムーミンパパのように冒険を求める者もいれば、スナフキンのように孤独を楽しむ者もいました。
彼らは、自分自身を見つめ直し、他者との違いを受け入れながら、共に生きることの意味を模索していました。
そのとき、トーベは「まさか」という言葉の意味を深く考えました。
人生には、予測不可能な出来事が起こることがあります。
それは時に困難で、時に希望に満ちていますが、そのすべてが私たちを成長させ、新たな道を切り開くきっかけとなります。
彼女は、ムーミン谷の物語の中で、この「まさか」を象徴するキャラクターや出来事を描きました。
彼らは、困難に直面しながらも、それを乗り越える力を見つけ、成長していく姿を見せます。
トーベ・ヤンソンにとって、芸術とは人生そのものでした。
彼女の作品は、彼女自身の人生観や思想を反映したものであり、彼女が経験した自由、孤独、共生、そして予期せぬ出来事との向き合い方が織り込まれています。
彼女の物語は、私たちに人生の複雑さを受け入れること、そしてそれを通じて自分自身を見つけることの大切さを教えています。
この島での時間が、トーベの作品にどれだけの影響を与えたかを知る者は少ないかもしれません。
しかし、彼女の描いたムーミン谷の物語は、彼女が大切にしていた思想や価値観を私たちに伝える永遠のメッセージとなっています。
トーベ31歳(1945年)に書かれた「最初のムーミンの本『小さなトロールと大きな洪水』から始まるその後の連載は、全てが現代に最も憂う問題提起を既に予測していたとは驚きを隠せませんでした。